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「今日は何処へ着陸しますか~?」
気のない声で話すドルフィン初号機。
「………今着陸出来る所は?」
「すいませんが、もうあんな所降りたく無いです…。それに、クマチャッピーが…クマチャッピーが…。」
「ふ~ん。」
「昨日のことを思い出すだけで…あぁ、気持ち悪くなります。もうあんな所降りたくありません。」
「そこで、良いニュース。あの『ゼロ』って言う人が地図を落として行った。」
「えっ?えっ?えっ?本当ですか??」
嬉しそうに声を少し高めるドルフィン初号機。
「地図は一枚で、真ん中に線が引いている。南がこの場所の地形…『野生の都』と、線をまたいで北の方に見たことがない地形………?」
「どうしました?」
「……………分かった。以前来たことがある、『樹海のヘソ』だ。」
「『樹海のヘソ』?」
「説明の時間はあまりないから、まず北へ。」
「え…あっ、はい。」
北の方へ向かう。
「『樹海のヘソ』は何故知ってますか?」
「隕石にぶつかり不時着した時、ドルフィン号…前の私の愛機のバラバラになったパーツを捜しに来た場所だ。」
「そうですか…なんか辛いことを思い出さ」
「大丈夫。というより、もう大丈夫。」
「もう大丈夫と言うと…。」
「さあ、着くよ。」
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