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初めての場所
優心いちごは、熊本県荒尾市の荒尾小学校にいた、
彼女は、一年前、長野県の小学校から赴任してきた教師、若干25歳、生徒達には、いちごちゃんとかいちご先生と慕われていた
夏休みも、終わろうと言うのに、突然、校長から呼び出された
いちごは、校長室の中に
(あの~私に何か?)
(あ、すまないな~実は、県の教育委員会から通達が来てね)
(はい、)
(そ、それでなんだが?うちの分校は、知ってるね?)
いちごは、うなずく
(分校で教師が、病気で長期休養する事になってね、代わりの教師を、君にお願いしたいのだが、どうかな?)
(はっ、そっ、それは?いつから?ですか?)
(2学期からなんだ)
(えっ?3日?)
(すまない、突然の事で、うちの分校だし他校にも頼みにくいんだ)
(はい、わかりました)
2学期の前日、いちごは、バスの中に、海岸沿いの道を走り、やがてジグザグを繰り返し山道の奥深く
(次は、終点、荒尾分校)とアナウンスが、いちごは、降りて歩きながら木々の間から、分校が見えて来た
(あ~着いた)と、その時、
木々の波が無くなり、視界が広がった
背後には、緑一面の美しい山並、前方には、澄みきった青い海、空も手が届くくらいに輝いている、
蝉の鳴き声と鳥の鳴き声が響き渡っている
(素晴らしい)と感動して立ち止まっているところに
(こんちわ!分校に用事なの)と
ジーンズにTシャツ麦わら帽子のボーイッシュな女性が
(はい、明日から分校に赴任する事になった者ですが)
(あ~、あんたなんや、待ってたよ)
(えっ?待ってた?)
(あ~、ごめん、うち姫崎美猫って言うねん、ここの教師や)
いちごは、彼女の関西訛りに驚き
(私は、、)
(あ~聞いてるよ、優心いちご、さんやな、よろしく)
二人で、分校の中に、美猫が小走りで
(校長~来たで~いちごちゃんが)
その話し声が聞こえた、瞬間、いちごは、思わず笑い出した
(なんや、何が、おかしいんや、いちごちゃん)
(だって~バリバリの関西訛りで、ちゃん付けで(笑))といちごが笑っていると
(だから、猫姫ちゃん、少し言葉使いを直しなさいって、わしがいつも、言っているんじゃ)
(そやけど、大学が大阪だから、しゃあないわ、ええやん、どうせ、教師は、いちごちゃんと私だけやし)
(えっ?二人?)
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