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「――そんなわけで、私をしばらく、この家に住ませてもらえませんか?」
事情を一通り話した今宵は、断られたらどうしようって感じに耳をピクピクさせながら問い掛けた。
対して、海斗の答えは明確だった。
「断る」
「ふえぇ!?」
ザックリ切り捨てられて、今にも泣きだしそうな今宵。
「……冗談だ」
「ふぇ?」
こう、今宵のリアクションがあまりにも楽しいので、ついからかってしまう海斗。
「じゃ、じゃあ海斗さん……私、ここに住んでも良いですか?」
「まあ……」
いや、正直な話をすれば迷惑極まりなくて、ぶっちゃけ断ってしまいたいってのが本音だが、行く当てもない女の子を追い出せるほど海斗は鬼畜ではなかった。
――ともあれ、今宵は可愛いとはいえまだまだ子供っぽいし。間違いは起こらないだろ。
そんな思いを抱きながら、問い掛ける海斗。
「えっと……今宵って、何才?」
「ふぇ?……えと、17、ですけど……?」
「……やっぱ出てけ」
「ふえぇぇ!?」
――シット。同い年じゃねぇか畜生。
ちょっとホントに倫理的にまずいので、やっぱり追い出してやろうかと画策する海斗だが、
「…………?」
どうして急に海斗の気が変わったのかわかっていない様子の今宵を追い出すのは、忍びないというか良心の呵責が痛むというか。
(――つまり、アレか。俺が理性をフルに動員しろと。息苦しい生活をしろと)
しかも、見返りは特になし、と。
なんかもう、本気でやるせない現実にゲンナリする海斗。
こうして八積海斗と逆月今宵の、奇妙な同居生活が幕を開けたのだった……
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