第1章:優しさの先にあるモノ

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この堅物をどう口説こうか・・・。 ユリアは真剣に考えながら、瞳を細めた。 「・・・令嬢が、心配か?」 問いに、エオルの肩がビクリと震える。 「貴族の子弟には愚か者も多い。 留守がちになることで、どこぞの馬の骨に汚されるのを恐れているのか?」 図星だったのか、エオルは拳を一層強く握り締めた。 もしかしたら、以前にあったのかもしれない。 親としては、当然の心配だろう。 「高位の貴族が相手になれば、令嬢はお前の立場を慮って何も出来ないかもしれない。 そう考えたのか」 沈黙。 それは肯定を示していた。 「・・・私は、そんなに頼りないか」 低い、寂しそうな声に、エオルはハッとして顔を上げる。 「言ってくれれば、いくらでも手を貸すぞ。 令嬢や夫人が心配なら、ここに呼べば良い。 医療係りはいくらいても足りないだろうから助かる。 それに、ここなら私以上に地位の高い者はいない。 私が後見になれば誰も手が出せない。 ・・・そうは考えなかったのか?」 寂しげな声に、エオルは慌てて首を振った。 「そうではありませんっ! 恐れ多いことながら、貴方にすがることも考えたのです。 ですが、そうなると貴方に迷惑が・・・」 「本人が構わないと言っている」 あっさりとしたユリアに、エオルは何だかバカバカしくなってきた。 .
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