第1章:優しさの先にあるモノ

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「・・・どうして?! 国家中枢を担う大臣達が、どうしてあんな非情なことが言えるのッ!?」 瀟洒な趣味のよい部屋に入るなり、マリアレナはアレク相手にまくしたてた。 ちなみに、ここにはマリアレナの乳姉妹である侍女、フィアがいるのだが、マリアレナとアレク眺めているだけで何も言わない。 アレクはマリアレナの怒りが分かるだけに、どうとも言えずに押し黙る。 沈黙の果てに、何とか言葉を絞り出す。 「・・・世の中、そんなに甘くないってことです」 「分かってるわッ! でも、政治に携わる者なら、民を守り、国を守ろうとするのが普通のはずだわッ! つまらない・・・汚泥まみれのちっぽけな矜持を守る為に、数千の民を見殺しにするのなんて異常だわッッ!!」 「・・・陛下、今の政府内、高官の地位にいる者が誰なのか、お分かりですか?」 「知っているわ。 当然でしょう」 「では、宰相から順に上げて下さい。 それで、理解出来るはずです」 アレクの言葉に、マリアレナとフィアは顔を見合わせて首を傾げた。 そして、わずかに嫌悪しながらも顔を思い浮かべて記憶を辿る。 思案げなマリアレナを見て、アレクは愛しそうに微笑んだ。 .
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