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「・・・どうして?!
国家中枢を担う大臣達が、どうしてあんな非情なことが言えるのッ!?」
瀟洒な趣味のよい部屋に入るなり、マリアレナはアレク相手にまくしたてた。
ちなみに、ここにはマリアレナの乳姉妹である侍女、フィアがいるのだが、マリアレナとアレク眺めているだけで何も言わない。
アレクはマリアレナの怒りが分かるだけに、どうとも言えずに押し黙る。
沈黙の果てに、何とか言葉を絞り出す。
「・・・世の中、そんなに甘くないってことです」
「分かってるわッ!
でも、政治に携わる者なら、民を守り、国を守ろうとするのが普通のはずだわッ!
つまらない・・・汚泥まみれのちっぽけな矜持を守る為に、数千の民を見殺しにするのなんて異常だわッッ!!」
「・・・陛下、今の政府内、高官の地位にいる者が誰なのか、お分かりですか?」
「知っているわ。
当然でしょう」
「では、宰相から順に上げて下さい。
それで、理解出来るはずです」
アレクの言葉に、マリアレナとフィアは顔を見合わせて首を傾げた。
そして、わずかに嫌悪しながらも顔を思い浮かべて記憶を辿る。
思案げなマリアレナを見て、アレクは愛しそうに微笑んだ。
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