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「宰相レイブン侯爵。
内務大臣テアロル伯爵。
外務大臣・・・はユリア。
軍務大臣もユリア。
交易大臣キニアン公爵。
司法大臣ノルファーン伯爵・・・」
「全員伯爵以上の者でしょう?
閣下は抜かしますが、彼らは民を代えのきく駒のようにしか思っていないでしょう」
アレクの冷たい断言に、マリアレナは愕然とする。
ドレスの裾をつかみ、琥珀色の瞳を見開いて小刻みに震える。
「・・・それが、上に立つ者なの?
支配者は被支配者を大切にせねばならないはず・・・。
慈悲を持って、慈愛を抱いて」
「彼らの中には、充分慈悲深く慈愛に満ちた自分がいるんでしょうね。
陛下、よく聞いて下さい。
貴族とは本来ああいう存在です。
元孤児である閣下は別にしても、貴族に生まれ、貴族として育ち、貴族の生活しか知らない人間ばかりです。
他者を顧みることはなく、弱者を踏み付けるのが自分達の特権と信じ、自分達がもっとも偉いのだと盲信し、勘違いしてバカみたいな行動をして自分の過ちに気付かないバカが貴族です」
マリアレナとフィアはどう反応して良いのか困った。
多分に偏見が込められているらしい怨念めいたアレクの言葉は、おそらくは間違っていない。
元々は市民でしかないアレクにとって見れば、貴族は自分達を圧迫し続ける愚者に思えただろう。
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