第1章:優しさの先にあるモノ

16/16
前へ
/40ページ
次へ
「貴族の中では、統5家と閣下が上等な部類です。 統5家は政治に介入することを拒みます。 それは、権力の大きさを気にしてのことです。 ただでさえ統5家という貴族のトップである彼らが大臣などになったら、王家に迫る権力を持ってしまうでしょう」 語り続けるアレクの言葉に、マリアレナは自分の無知を恥じる。 それを察し、アレクは優しく微笑む。 「統5家は貴方を王として信頼し、認めているんです。 だからこそ、貴方は努力しなくてはならない。 その信頼に応える為に。 貴方は慈悲や慈愛が必要だと言います。 確かに必要でしょう。 ですが、それだけで、優しさだけで、国は動かせません。 非情さを持たなくては。 だからと言って、バカ貴族みたいにはならないでくださいよ? 貴方が努力すべきことは、冷酷さを身に着けることです。 それを果たせた時、貴方は、優しさの先に見つけることが出来ます」 少しばかり笑いを含み、よく分からない言葉を綴るアレクに不思議そうな視線を向ける。 「・・・・・・何を?」 問うマリアレナを愛しそうに見つめ、アレクは唇に人差し指つけて言った。 「王として最も必要な資格。 そして、貴方が生まれながらに有しているモノですよ。 マリアレナ・・・・」 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加