第2章:理想(ユメ)語るモノ

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「・・・・・・学院長」 「何でしょう、エオル殿」 「私は神に誓いました。 ・・・今後一切、大公爵閣下を怒らせません」 「・・・そうですか。 それは賢明です。 私は会ったその日に誓いましたよ」 「何があったんです・・・?」 問いにポールは答えず、ふいと顔を背けた。 それほど凄まじいことがあったらしい。 何やら重苦しくなってしまった2人に、駆け寄る少女がいた。 「お父様ッ、学院長ッ。 何をしているの? 早く行きましょうッ! 大公爵閣下に会いたいです」 晴れやかに笑い、父と学院長を急かす少女を見やり、2人は明後日の方を向いて悲しそうな目をする。 それをいぶかしみ、少女は首を傾げる。 「お父様・・・?」 「何でもないよ。 さあ、行こうか。 セレス」 父の穏やかな呼び掛けに、満足そうに笑って頷いた。 重い足取りの2人を従えて、少女は軽やかに歩く。 学院長室はすっかりユリアの私室と化していた。 別にそれは構わない。 指揮官であり大公爵であるユリアには執務室になる場所が必要なのだ。 だから、部屋をかすのは構わない。 ただ、怖いだけで。 部屋がではない。 そこの主(本来はポール)がだ。 それはエオルも一緒らしく、2人は同時に深い溜め息をつく。 .
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