第2章:理想(ユメ)語るモノ

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腰まで伸ばした漆黒の髪。 大きく澄んだ碧の瞳。 すけるような白い肌。 活発な印象を受ける明るい美少女は、セレス・シュルト。 エオルの掌中の珠、1人娘である。 現在、エオルが将軍となってから3日が経っている。 シュルト家が代々治めてきた街は、王都よりも離れた田舎にある。 急いでも、ここに来るまでに4日はかかる。 なのに、今、ここにセレスがおり、シュルト家ようにと与えられた部屋(旧教室)を整えているシュルト夫人エルザがいる。 何故いるのか。 簡単に言えば、ユリアが術で転移させたのだ。 とは言え、内実はそんなに簡単ではない。 式に術印を刻んで飛ばし、セレスとエルザと会話をして準備できた時点で術を行使する。 これを行うに当たり、術者はその魔力と精神力を大幅に消耗する。 高等術な為に、相当な技術が必要となる。 なのに、当のユリアは平然としている。 普通なら昏倒していてもおかしくないのだ。 なのに、平然と日々を過ごし、時には仕事と巡察を行っている。 バケモノ この一言を、ポールとエオルは何とか呑み込んだ。 口にしていたら、どうなっていたか分からない。 瞬時に背筋を走った戦慄に、2人は全力疾走する心臓をなだめるのに必死だった。 .
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