第2章:理想(ユメ)語るモノ

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「・・・よし。 終わったッ!」 「そうか。 なら次はこれを頼む」 スーシェリアの言葉を受けて、ユリアは書類の束を差し出す。 それを見て、スーシェリアは瞳を細める。 「・・・ユリア。 さっきから思ってたんだけど、貴方仕事してるの?」 「している。 スーシェリアの5倍は」 言いながら指し示すのは、立ったまま作業しているユリアがもたれている長机だ。 その上には、均等に山となった書類が。 ちなみに、山の1つ1つは厚みが約50センチほどもある。 山は全部で6つ。 確かに、渡される書類をしているだけのスーシェリア(他4名)とは、格段に仕事量が違う。 何も言えなくなったスーシェリアは、差し出されている書類を受け取る。 「・・・というか、何でこんなに大量なの?」 レオンの呆れたような問い掛けに、ユリアはさらりと返す。 「ため込んでいたんでな。 私もこんなになっているとは思わなかった」 それに、一瞬皆の思考が停止する。 これらの書類は今王都にいるアレクが送ってきた、外務と軍務の未決裁書類だ。 学院にいた為に仕事が出来なかったのは分かるのだが、それにしても多過ぎな気がする。 「ちなみに、いつから・・・?」 「2月あたりから」 再び、皆の思考が停止する。 今現在、季節は初秋9月である。 およそ半年余り。 思わず、外務と軍務に仕える官吏達に同情した。 生真面目そうに見えて、意外とずぼらでサボり魔ようだ。 .
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