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黙々と仕事をこなす室内に、外からの声が掛かり、ユリアが入室を促す。
入って来たのは、ポールとエオル、そして、活発そうな美少女だ。
首を傾げる5人とは違い、ユリアは少女が誰なのか分かった。
「ようこそ、シュルト家令嬢セレス。
私はエクリトワール大公爵ユリア・リーロア・オルガニスタ・ハルシフォン・フェナル。
以後お見知り置きを」
簡潔に述べるユリアに、当のセレスはポカンとしている。
カインを除く4人は、興味深げにセレスを見ている。
セレスはゆっくりとユリアに歩み寄る。
小柄なユリアと平均的なセレスは、背が同じくらいだ。
上から下までジッと見ているのを、エオルはハラハラしながら見ている。
「貴方が、大公爵閣下?」
「そう言ったはずだが?」
素っ気無い返答。
この問い掛けには、ユリア飽き飽きしていた。
誰も彼もが、イメージと違うと言ってユリアを糾弾する。
ユリア本人から言わせてもらえば、お前達が勝手にそう思い込んでいただけだろうが、となる。
実際、勝手に夢を抱いて、勝手にそうだと決め付けているのだから、ユリアは何も悪くない。
しかし、人はそんなに簡単ではない。
セレスを、そんな人種と一緒だと思ったのだ。
だが、それは間違いだと数瞬後、ユリアは悟る。
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