第2章:理想(ユメ)語るモノ

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「思った通りの方ね」 ニッコリと笑って言った言葉に、ユリアは目を軽く見張る。 次いで、面白いと思っているような笑みを小さく浮かべる。 「ほぅ、どこらへんが?」 「いっぱいありますけど・・・優しそうなところです」 即答に、室内の空気が止まったような錯覚に陥った。 ポールとエオルは真っ白にまってしまった。 ユリア本人も、そんなふうに言われたことがないから返答に窮している。 それに気付いていないのか、セレスは考えながら言葉を連ねる。 「後は・・・そうですね。 冷たく振る舞いながら、自分以外の者に心を傾けて、その盾となることを厭わない瞳をしていらっしゃいます。 ・・・誰よりも優しく、勇敢な方だと、思っていました」 真っ直ぐにぶつかる視線と偽りのない言葉にユリアは笑みを浮かべる。 さきほどとは違う。 好意と呼べる穏やかな笑みだ。 「・・・そんな自覚はないが、褒め言葉として受け取っておこう」 和やかな口調で、一言言うとセレスは嬉しそうに笑う。 その成り行きを、皆が呆然としながら見ていたのに、セレスは気付いていなかった(もちろん、ユリアは気付いている)。 来て早々に、セレスはユリアに気に入られたらしい。 .
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