第2章:理想(ユメ)語るモノ

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「・・・なるほど」 セレスを加えて6人。 雑務処理の手は少なからず速くなった。 そこに、ユリアの低い呟きが響いた。 いぶかしげに顔を上げて、ユリアを見る。 手元には、アレクから送られて来た式文が握られている。 「どうかしたのか」 カインの静かな問い掛けに、ユリアは手紙を適当に折り畳みながらあっさりと言い放った。 「援軍は来ないらしい」 何気に絶望的な言葉だ。 一瞬、皆その意味が理解出来なかった。 理解した瞬間、部屋の空気が凍り付き、皆が石化した。 ただ1人、セレスを除いて。 「・・・それがどうかしたんですか?」 問いに答えたのは当然ユリア。 「今、手元にある兵は常駐警備軍1000と特務科生200だけ。 それに対して、相手の全勢力は万を超える。 ハッキリ言って、戦う意味がない。 負けるからな。 だから、援軍を要請したんだが・・・」 あきれたような呟きは、元から諦めていたかのようだ。 (マリアレナではないだろう。 あのクソ爺どもが・・・) 内心で悪態付きながら、溜め息を付く。 「・・・集められても100」 普通科生から選抜しても、それぐらいしか集まらない。 さしたる力にもならない小さな力だ。 これでは、逆に不安になる。 足手まといになり兼ねない。 「・・・セレス。 エオルとポールを呼んで来てく。 対策を練りたい」 元気良く出て行くセレスを見送り、前髪をかき上げ、いまだわずかにしか動かない腕を恨めしげに見つめる。 (統5家が間に合う事を祈るか) .
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