第2章:理想(ユメ)語るモノ

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数十分ほど迷いはしたが、無事に職員室に辿り着いてポールに声をかけ、セレスは裏庭で兵士の稽古をしているらしいエオルの元に早足で向かう。 その途中、2人の男子生徒とすれ違った。 「・・・大公爵ってもさぁ・・・」 「もしかしたら、体で買ったんだったりして」 「うっわ、ありそうぁだなっ」 愉快そうに笑い合う2人の言葉に笑えず、セレスは無意識の内に1人の男子生徒を蹴り倒していた。 自分の所行に驚きつつも、後悔はない。 つかみかからんばかりの男子をキッと睨み据える。 「なにすんだよっ!」 「・・・!おい」 「あぁっ?!」 蹴られた少年はキレ気味。 もう1人がその肩をつかむ。 「こいつ・・・シュルト将軍の娘じゃないか?」 「!! そうか・・・そういえば」 ボソボソと言葉を交わす2人に苛立ったのか、セレスは怒鳴る。 「将軍は父よ! そうだったら何だって言うのよ!」 叫びに、余裕の笑みが浮かぶ。 「おいおい、そんな態度で良いのか? 俺は伯爵家の長男でこいつは侯爵家の次男だぜ? たかが1領主の娘ごときが、手を出したらどうなるのか分かってんのかよ」 言われて、セレスはグッと押し黙る。 自分の無思慮な行動が、尊敬する父の立場を危うくしている。 その事実に悔しさが溢れる。 だが、ここで負けてはいられない。 さっきの言葉は、他者を侮辱する言葉は、決して許されない。 .
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