第2章:理想(ユメ)語るモノ

9/15
前へ
/40ページ
次へ
(きっと、ここでへりくだったら、それこそお父様とお母様に叱られるわ) 両親の性格を理解しているセレスは、退く事よりも向かう事を選んだ。 「その爵位は貴方達の父のモノであって、貴方達のモノじゃないわ。 父親の威光の上に胡座かいてるだけのくせに、偉そうに言わないでよね」 キッパリと言い放つと、少年は額に青筋を浮かせた。 「こっのっ・・・!」 「ふざけんなよ。 そんなにつぶされたいのか」 怒りが理性を上回り始めた少年達に気圧される事無く、セレスは胸をはる。 (ここで大公爵の名を出せば収まる。 でも、それじゃいけない。 ましてや、こんな事で迷惑をかけて、失望されたくない) 自分の評価が父に影響する。 本能でセレスはそう悟っていた。 本来の目を掛けても意味の無い下っ端貴族だ。 ユリアがそう思っていなくても、周囲はそう思って軽んじる。 だからと言って守るわけじゃない。 それぐらい自分で切り抜けられなければ、意味がない。 無様に助けを求めるのは、全力を尽くしてから。 グッと両手を握り締める。 「潰すなら潰せば良い。 でも、貴方達が頂点なわけじゃない。 そのさらに上がいるわ。 もしもそれを知ったら、司法機関はどうするかしら。 不当な家名剥奪は立派な犯罪よ」 「・・・何言ってんだ? お前」 セレスの言葉を嘲笑する。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加