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(きっと、ここでへりくだったら、それこそお父様とお母様に叱られるわ)
両親の性格を理解しているセレスは、退く事よりも向かう事を選んだ。
「その爵位は貴方達の父のモノであって、貴方達のモノじゃないわ。
父親の威光の上に胡座かいてるだけのくせに、偉そうに言わないでよね」
キッパリと言い放つと、少年は額に青筋を浮かせた。
「こっのっ・・・!」
「ふざけんなよ。
そんなにつぶされたいのか」
怒りが理性を上回り始めた少年達に気圧される事無く、セレスは胸をはる。
(ここで大公爵の名を出せば収まる。
でも、それじゃいけない。
ましてや、こんな事で迷惑をかけて、失望されたくない)
自分の評価が父に影響する。
本能でセレスはそう悟っていた。
本来の目を掛けても意味の無い下っ端貴族だ。
ユリアがそう思っていなくても、周囲はそう思って軽んじる。
だからと言って守るわけじゃない。
それぐらい自分で切り抜けられなければ、意味がない。
無様に助けを求めるのは、全力を尽くしてから。
グッと両手を握り締める。
「潰すなら潰せば良い。
でも、貴方達が頂点なわけじゃない。
そのさらに上がいるわ。
もしもそれを知ったら、司法機関はどうするかしら。
不当な家名剥奪は立派な犯罪よ」
「・・・何言ってんだ?
お前」
セレスの言葉を嘲笑する。
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