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残念そうな男の言葉に、少女はカッとなって口を開きかける。
だが、少女が言葉を発するよりも先に、飛んで来た声があった。
「無礼にもほどがありませんか?」
朗々とした声は、少女の正面、男の背後にある広間の扉から響いた。
入って来たのは、真紅の髪と褐色の肌をした青年。
その姿に、少女は頬を綻ばせる。
悠然と歩を進め、男の隣りに並ぶと、少女に対して膝を折る。
それに、悲しくなりながらも、少女は問う。
「何故、貴方がここに?」
最前線で、友の補佐として常に傍らにあるはずの彼が、どうしているのか。
「閣下より仰せつかり、ご報告に参りました。
女王陛下」
いつもとは違い、毅然として言う青年、アレクの言葉に少女は泣きそうになるのを必死に堪えていた。
(・・・・・・あぁ。
貴女は、離れていても、わたくしを助けてくれるのね。
・・・・・・・・・ユリア)
遠くの友に感謝して、顔を上げたアレクを見て、再度泣きそうになる。
だが、強く瞳を閉じて再び開けた時には、王の顔になっていた。
ルウェン王国当代女王マリアレナ・カリアナ・エーテル・フロワール・ルウェンは、毅然として男達、国家中枢を支える大臣達を見回してゆっくりと口を開いた。
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