第2章:理想(ユメ)語るモノ

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「俺の父は宮廷で司法大臣をしてる。 こいつの父上は宰相だぜ? お前みたいな小娘の言葉なんざ聞くかよ」 鼻で笑う少年に、セレスは怒りの余り目まいで倒れるかと思った。 国政に携わる、しかも、官吏の頂点にある大臣が息子の言葉一つで法をねじ曲げるのか。 その事実に、吐き気が込み上げる。 影で聞いていたユリアは忌々しげに舌打ちをし、「やはりさっさと葬っておくべきだった」と物騒に呟く。 それに青ざめながらも、カイン達は少年の言葉には怒りを覚えた。 まるで、自分は国の在り方を変えられる存在だと言うかのような態度に、言い様のない嫌悪感が沸き上がる。 「・・・大臣は、国政にあって民を導き、王を補佐するのが役目のはず・・・。 ただの子供の我が儘で、法を曲げるなんて・・・ッ。 1大臣のみならず宰相までッ。 そんなの、官吏として・・・いいえ、人として間違っているわ!!」 悲痛さを込めた叫びに、ユリア達は内心で頷く。 だが、少年達はバカにしたように笑う。 「んなの、ただの理想じゃねえか。 今時そんな夢持ってたらやってけないぜ? 貴族ってのはお前が思ってるほどきれいじゃねえんだよ」 少年の言葉にも一理ある。 しかし、ユリアはそれを肯定しようとは思わない。 今、現時点で言えば、間違っているのは少年達だ。 黙り込むセレスに、ユリアが出て行こうとした時、低い呟きが耳に滑り込んで来た。 「・・・・・・悪いの?」 .
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