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エルカイン王立学院は、騒然としていた。
いきなり戦争の最前線となり、1000人に及ぶ常駐警備軍の兵士を学院に迎え入れるのだ。
戦争経験のない生徒達にしてみれば、恐怖をかきたてるのには充分だった。
その中で、今1番大変なのは、ポールであった。
突然、最近まで同じ学び舎で生活していた(嘲笑っていた)生徒が、国内のNo.2だと言われれば、混乱もするだろう。
それを相手にしているのだから、精神的疲労の方が深刻である。
それを命じた当のユリアは、我関せず、と言う態度を貫いているが。
「・・・ユリア。
聞いてもいいかしら」
「なんだ」
「さっきから、何をしているの?」
「見て分からないか」
「分からないから聞いてるんだけど・・・」
スーシェリアの言葉に、ユリアは納得した。
そして、作業の手を止めると、作っていたものを見えるように持ち上げる。
「何に見える」
「・・・紙を折って作った蝶」
「そうだ。
分かってるじゃないか」
「何の形かなんて聞いてないっ。
何でそれを作ってるのかを聞いてるの」
怒り、叫んだスーシェリアに、ユリアはなるほどと頷いた。
この時点で、2人以外の4人は2人について薄々気付いていた事を再確認した。
曰く、
ユリアは天然
スーシェリアは短気
という事だ。
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