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「これは文だ」
「蝶の折り紙が?」
「ただの折り紙じゃない。
式文だ。
魔力を込めた文書を鳥や蝶の形に折って、送る相手を強く念じて飛ばすんだ」
「術師の連絡手段ってこと?」
「簡単に言えばそうなる」
頷くユリアは折り終わった蝶を持ってバルコニーに近付く。
風にフワリと浮かばせ、指を鳴らす。
すると、一斉に蝶が飛び立って行った。
「5羽・・・?」
数を目で数え、ライルが呟く。
「ああ。
統5家の当主に当てたものだからな」
「・・・な、内容は?」
自分達の事も書いたのでは、と思ったのかレオンが恐る恐る問い掛ける。
それに対して、ユリアは感情の読めない表情で無言。
「・・・主には、支援の要請だ」
「主に・・・?」
「安心しろ。
親バカの当主達がお前達の身を心配していたからな。
心配ないと伝えておいただけだ」
それに、思わずホッとする。
別段、悪い事をしたわけではないが、何となく不安になるものだ。
「・・・どちらかと言えば、当主達の返書の方が困りものだと思うが」
ユリアの溜め息混じりの呟きに、カインですら反論出来ずに全員が黙り込んだ。
ガチャッ。
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