第1章:優しさの先にあるモノ

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「これは文だ」 「蝶の折り紙が?」 「ただの折り紙じゃない。 式文だ。 魔力を込めた文書を鳥や蝶の形に折って、送る相手を強く念じて飛ばすんだ」 「術師の連絡手段ってこと?」 「簡単に言えばそうなる」 頷くユリアは折り終わった蝶を持ってバルコニーに近付く。 風にフワリと浮かばせ、指を鳴らす。 すると、一斉に蝶が飛び立って行った。 「5羽・・・?」 数を目で数え、ライルが呟く。 「ああ。 統5家の当主に当てたものだからな」 「・・・な、内容は?」 自分達の事も書いたのでは、と思ったのかレオンが恐る恐る問い掛ける。 それに対して、ユリアは感情の読めない表情で無言。 「・・・主には、支援の要請だ」 「主に・・・?」 「安心しろ。 親バカの当主達がお前達の身を心配していたからな。 心配ないと伝えておいただけだ」 それに、思わずホッとする。 別段、悪い事をしたわけではないが、何となく不安になるものだ。 「・・・どちらかと言えば、当主達の返書の方が困りものだと思うが」 ユリアの溜め息混じりの呟きに、カインですら反論出来ずに全員が黙り込んだ。 ガチャッ。
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