プロローグ

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 僕を止めようと腕を引っ張ってくる忰田さん。   「放して忰田さん! こいつにも一回地獄を見せてやるんだ!」    意外と強い忰田さんの力に負けないよう、必死で腕を引っ張るが全然動かない。  クッ…僕はこんなにも非力なのか!?   「頼むやらせて!」   「駄目です!」   「ひぐらしが鳴いている!」   「何を言っているんですか行康くん!?」    ぎゃーぎゃーと騒ぎ立てる僕と忰田さん。やる! 駄目です! の無限ループを繰り返す。   「……アホだな」   「どしたの奥村?」   「ん? おー津島か。いや実はな……」    そのせいで、目の前にいる誠と、奴に話しかける二人の人影の会話を聞いていなかった。   「駄目です!」   「いや、やる! どいて忰だハァァァン!?」    瞬間。頭を鈍器で殴られたような衝撃。
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