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「や、やだなぁ南そんな誤解を招くような言い方しちゃ……ほら、きちんと言い直さなきゃ。ね?」
冷や汗をダラダラと流しながら、小さな子供を諭すように南に言い聞かせる。
さっきまで騒がしかった教室がいつの間にか静かなのは気のせいだと思いたい。
「………………」
そして数秒間頭を南は傾げて、
「………激しさが足りなかった?」
僕に死刑宣告を通知した。
『『『そいつを殺せェェェェェ!!!』』』
その瞬間、息を合わせた様にクラスメイトたちは立ち上がり、一斉にラグビーボール片手に警戒体勢をとった。
一糸乱れぬその動きには、北朝鮮もビックリだろう。というかなんで皆ラグビーボールなんて持っているんだろ。相変わらずこのクラスは分からない。
「セッーーーーー」
中心を陣どる杉崎さん───不真面目な委員長さん───の号令をきっかけに、獲物を僕に合わせ始める皆。
バカな! アメフトはこんな危険な競技じゃないはずだ!
『くそったれがァ!』
『私たちの前でいちゃつくなんて最低よ!』
『死んで詫びやがれ!』
口々に叫ぶ声には、憎しみがマジで込もっていそうだ。
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