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その道をひたすら歩く二人、バス停からどのくらい歩いただろうか、目の前に一つの古びた青い鳥居が見えて来た。
『美鈴ちゃん、前。』
『青い鳥居…多分あれで間違え無いと思う、夢で出て来たのと同じだし…』
『うん、私も同じ…』
どうやら二人が夢で見た鳥居と同じであるようだ。
『この先に皆が…』
『巫琴ちゃん、私の念呪には反応が無いけど、さっきから体が少し重いし寒くがするの。』
『私も、何かあの先に行っちゃいけない気がする…』
『でも、この先に皆がいるんだよね。』
『うん、間違いないと思う。』
二人は少しの間その前にいたがついに決心した。
『行くよ、美鈴ちゃん。』
『うん。』
手を取り合う二人、一本、また一本と村の入口である鳥居に近付く、そして足を踏み入れようとした時であった。
『え!?』
うまくは説明出来ないが巫琴は後ろに、美鈴は前に突き放すような力を感じたのである。
繋いだ手と手はその力によって引き離された。
『美鈴ちゃん!』
『巫琴ちゃん!』
美鈴は鳥居の中に、巫琴は鳥居の外に投げ出され二人共バラバラになってしまった、それだけでは無い、中に入ったばかりの美鈴の姿は巫琴の目の前から消えてしまったのだ。
『美鈴ちゃん!美鈴ちゃん!』
再び鳥居の中に入ろうとする巫琴だったが、何者かに腕を握られている感覚を覚えた。
『これって!』
ゆっくり後ろを振り返る巫琴、そこには例の男の子がいた。
『貴方は!』
『お姉ちゃん来ちゃったんだ、でも行っちゃ駄目だよ、行ったら消えちゃう。』
『放して、お願いだから放してよ、美鈴ちゃんが、皆が助けを待ってるの!』
『どうしても行くんだね…解った、でも消えちゃうよ。フフフ…フフフ…』
にこやかに笑いながらその男の子は消えていった。
『あの子は何なの?』
また前を見る巫琴、やはり鳥居の先には美鈴の姿は無かった…
『美鈴ちゃん…皆…』
再び歩き出す巫琴、そしてついに鳥居の中に入った。
『え!?何で夜…』
さっきまで昼だったのに対して中は夜だった。
しかし、後ろを振り返り鳥居の外を見るとそこは先程と同じように昼であった。
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