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その時、外の世界から鳥の群れがこちらに近付いて来た、しかしその群れは鳥居の近くで反転し、また奥へと消えていった、どうやら鳥達はこの場所が危険だと言う事を解っているようだった。
『やっぱりここには何かあるんだ。』
一度鳥居の外に手を翳して(かざして)みる巫琴、しかしそこには何か壁のような物があり、手は鳥居から外には出なかった。
『もう帰れないのね。』
巫琴は不思議な空間に一人になり、今までの決意が少し鈍ったようだった、しかし美鈴の消息、また本来の目的を思い出し決意をあらため先へ進み出した。
『美鈴ちゃん!皆!』
道も地形も解らないまま、皆の名前を叫びしばらく進んでいると遠くに村が見えて来た、そうこれこそが巫琴が目指した村であり、皆が行き着いた村、月影村、またの名を神隠し村である、円形に家が立ち並ぶ非常に珍しい、また奇怪か構成をしている村であった。
『あ、あの子は…』
そこを目指している時巫琴の目の前に一人の男の子が現れた、それは今まで夢の中などで何度もこの村に来るのを阻んだ男の子であった。
その子供はまるで巫琴を誘導するかのように先を歩いている。
『待って!』
その後を追う巫琴その先には一件の家があった、そこは余り大きくは無い昔の家であった。
男の子はその家の中へと消えて行った。
巫琴はその家の玄関が開いているのを確かめ中へと入った。
中も外見同様でかなり昔風に作られていた、その作りはまるで日本の昭和初期頃の田舎の家のようであった。
住民が住んでいる気配は無い、当たり前といっては当たり前である、ここはその昔、村人が消えてからそのままの状態になっているからである。
正面の玄関から奥に廊下が続いていた、その両端は襖が式っていて、その向こうは部屋があるようだ。
しかし、その部屋よりも、巫琴は廊下の先にある襖が妙に気になっていた。
中に入ると本が並んだ部屋になっていた、と言っても奥行きはなくただ少し広い部屋に本棚があると言うような感じであった。
その中の一つの本に妙に引かれた巫琴、そこへ行きその本を手にした。
『何この青い本…何故か知らないけれど引かれるものがある…』
手にした青い本は『月影村に関する報告』と書いてあった。
『かなり古い本…』
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