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『そんな事無いですよぉ。』
『そうね、あんたに限ってそんな訳ないかぁ!それより進、速く中に行きましょう。』
『ああ、そうだな。』
そう言うと三人は鳥居の中へと消えて行った。
『みんな、待って、その中に行っちゃ駄目!』
夢の中ではあったが何かとてつも無く嫌な感じがした巫琴は三人に語りかけたが聞こえる訳も無く鳥居の奥へと消えて行ってしまった…
また一人になった巫琴であったが自分見詰める視線を感じ鳥居の左下を見る、するとそこには先程までいなかったはずの小さい着物姿の男の子が立っていた。
その子供と眼が合ったとたん金縛りのような物にかかり動けなくなる巫琴、恐怖を感じた巫琴は動けない体で必死にその場から逃げようとする、しかし、体は動かない、その内その子供はズンズンと自分の方へ近付いて来た。
それは歩いていると言うよりもまるで空中を浮いて近付いてくるような感じである、そしてすぐ近くまで来た、子供の顔は青白く、生きている感じには見えなかった、そして手を掴んでこう言った。
『お姉ちゃんには見えるんだね、でも来ちゃ駄目、追っても駄目、だってほら…』
自分を掴む手と反対の手で鳥居の向こうを指指す子供、その先を見ると鳥居の向こうに消えて行く三人の後ろに何人もの黒い影が見えた、その影は間違い無く友達三人の後を追って行った。
『お姉ちゃんも消えちゃうよ。』
にゃっと笑う子供、その子供の顔は忘れたくても忘れなれない程の強烈な印象があった…
『みんなぁ~!!!』
気が付くとベットの上で汗をビッショリかきながら巫琴は目覚めていた…
息があがり汗がネバネバしていてとても気持ち悪かった…
『ハァハァ…今の…夢だったの…?』
眠りから覚めた巫琴、時計を見るとまだ夜中の2時であった、リアルだったがあれは悪い夢だ、と思った矢先に腕に痛みを感じた…
自分の腕を見ると細く白い腕に夢で子供に掴まれた場所と同じ位置にちょうど子供に掴まれたような黒い跡が残っていた。
『今の…夢じゃ無かったの…』
しばらく放心状態が続いた時、巫琴の携帯が鳴った、その音で我に帰り暗い部屋に光る携帯を取ろうとした。
その時である、電話はベットの枕元にあり、そね奥には物が置けるようになっているのだがその暗い間から顔が出て来た。
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