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第三刻 月影村
次の朝、美鈴と約束した公園に巫琴はいた。
『あ、巫琴ちゃん。』
『早いね美鈴ちゃん、待った?』
『ううん、今来た所だよ。』
『あれ?美鈴ちゃんそれは?』
美鈴の腕に鈴が円くまとまったちょうど巫琴がしている数珠と同じような物であった。
『これ?これは念呪(ねんじゅ)ていう道具。』
『念呪?』
『うん、霊が近くなると反応したり、結界を張って守ってくれたり、場合によっては封印したりしてくれる物なの、ただこれは使う人の霊力によって反応するから…』
『じゃあたしは使えないね。』
『ううん、巫琴ちゃんは解らないと思うけど、その数珠、それは念呪だよ。』
『え!?この数珠が!?』
『うん、私には解る、その数珠からお婆さんの強い念が伝わってくるの。』
『そうなんだ!でも、私はそう言う能力は無いから…』
『でも、微かに感じる…もしかしたら凄い力を隠し持ってるのかもしれない!』
『わ、私が!?そんな…』
『解らないけど、多分…』
『そうなのかな?自分じゃ解らないけど。』
二人はその後少しこの話しをして、月陰村へと向かうのであった。
巫琴達が住んでいる場所からこの村へはバスの移動となった、一時間たつと都会の景色から山の田舎の景色へと変わる。
木下ダム前と言うバス停で下車した二人、月影村へはここから歩く事になる。
当日、月影村にダムを建設する予定だった政府だが、調査団の相次ぐ謎の失踪の為月影村へのダム建設を諦めた。
そして次のターゲットになったのがこの木下村であった。
ここは何も無い場所の為ダム建設はあっけなく進み、無事に工事は終了したのだ。
そこから目的地までは山道の一本道を進むのだが、奥に行くにつれ周りは木が生い茂るまるで森のような景色になってくる。
その木々が太陽の光りを遮り昼なのにま関わらず冷たく少しどんよりとした空気になってくる。
地元の人も一切足を踏み入れないのにも関わらず最近誰かが通った形跡があるのは心霊スポットとして有名になった月影村に何人もの若者達が来ている証拠になるだろう。
そしとその中に進達を含めた三人が含まれているのだった。
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