出港

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船内は沈黙したままだ。 一樹はこの重い空気に耐えられず甲板に出た。 海を見た一樹は自分の目を疑った 「赤い………」 そう、海全体がまるで血の様に真っ赤に染まっていた。 一樹が驚いていると突然サイレンの様な音が響いた。 気が狂いそうなほど大きな音に耐えられず一樹は耳を塞いだ。 船室を見ると、皆耳を塞いで苦痛の表情を浮かべている。 どうやら自分にだけ聞こえている訳では無いようだ。 しかし一樹には1つ疑問があった 「この音……海の中から?」 そんな事を考えていると音は止まった。 「なんだったんだ?」と思いつつ手を耳から離し船室に戻ろうとした。 しかし、まるで先程の[音]が合図だったかの様にさっきまで穏やかだった海が荒れだした。 立っていられないほどの波にたまらず一樹は甲板の柵を掴んだ。
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