近くて遠い○○

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「へぇ~坂井 香奈(さかい かな)ちゃんって言うんだぁ…」 半ば無理矢理、香奈と名乗る彼女を木の木陰まで連れて行くと、並んで座った 小高い丘からは公園中が見渡すことが出来、さらに向こうには白い砂浜と青い海が地平線の彼方まで続いていた 海から流れる風が公園を抜け、丘を越え、山ちゃんのもたれている木の青葉をカサカサと揺らした 辺りは一面熱気の立ちこめる灼熱の大地なのに、丘の中心に生えた木の木陰は涼しく、心地よい場所だった 「そうよッ…でアナタは?」 少し不機嫌そうな表情のまま香奈が言った 「俺はね…山下 裕一(やました ゆういち)って言う者ですぜぇ…周りはみんな“山ちゃん”って呼ぶけどね」 「……みんな…」 明るく振る舞う山ちゃんに少し暗い表情で香奈が呟いた 「そう言えば、香奈も中学生?」 相変わらず山ちゃんは笑いながら、香奈を上から下まで眺めながら言った 「いきなり呼び捨てとか馴れ馴れしいわね…」 「嫌かい?」 「……はぁ…まぁ、いいわッ」 怪訝そうな表情で山ちゃんを見るも、どこか憎めない山ちゃんに香奈は少し苦笑しながら答えた 「……うん、そうよ、私は中学二年よ、山下君は?」 山ちゃんは相変わらずニコニコと嬉しそうに笑っている
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