第二章─合格発表の日に泣いている奴の半分くらいは合格者─

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「ではこの学校以外で魔術師と会ったことは?」 考えるまでもない。 柴崎要という魔術師と会っている。 「はい、前に一度道端でそこのかな……柴崎さんに会いました」 校長は要さんを見た。 「初耳だが?」 要さんはそっぽを向いている。 「反応ありません」 「……なるほど。川添君、足労を煩わせたな。 ──4月4日が入学式だ。くれぐれも遅れないように」 あれ? 今さらりと凄いこと言わなかった? 俺が戸惑っていると、要さんが耳打ちしてきた。 「おめでとさん。合格だとよ」 マジで? 樹海に行かなくていい? 「とりあえず、外にでるぞ」 要さんが固まっている俺を引きずる。 そこで、俺の頭が動き出した。 「あ……ありがとうございます!」 すると、校長は優しく微笑んだ。 俺は引きずられて玄関に戻ってきた。 そこには、結城が座っていた。 「早かったな。何の話だったんだ?」 俺は親指を立てていった。 「俺、合格した!」 質問と答えが噛み合っていないが、それを言うのが限界だった。 「やったじゃねぇか! よし来い! メシ奢ってやる!」 こいつ、かなりいい奴だ。
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