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さらに俺は仰向けに倒れ込み、鼻を抑えている親父に十の字固めをくらわせた。
「イタタタタッ!
拓海!ドメスティックバイオレンス!?」
その言葉で、俺はさらに力を込め、叫んだ!
「違げぇ!
俺に黙って勝手に送ったのが腹立ってんだ!」
この光景を見ていたお袋と妹が慌てて止めに入る。
「ちょっと拓!怒るのもわかるけどやりすぎよ!」
お袋の川添千枝が俺を親父から引き離した。
「拓海、ちょっとは加減してやりなよ。父さんもう四十すぎてるんだから」
そう言ったのは、俺より四つ下の妹、川添飛鳥。
「とにかく拓、父さんの話を聞いてあげて」
お袋の言葉にとりあえず従い、親父の話を聞くことにした。
怒りは収まっていないが…。
「ここじゃなんだし、台所に行こう」
四人は台所のいすに座った。
俺の向かいに親父とお袋がいて、俺の隣には飛鳥が座った。
俺はチラッと時計を見た。
時刻は夜の十時四十分。
小学六年の飛鳥は寝ないといけない時間だ。
「父さんな…」
俺はそんなことを考えていると親父が口を開いた。
「小さい頃の夢は魔術研究所に勤めることだったんだ」
俺は黙って聞いた。
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