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「神楽坂魔法学園……」
要さんは通り魔を近くの電柱に縛り付けて、通り魔の顔には"私は通り魔です、110番通報してください"と書かれた紙を貼り付けた。
「知ってんのか?」
「ええ。まぁ……」
少し迷ったが、俺は事情を要に話した。
「おもしろい父親だな。」
要さんは、笑いをこらえているようだ。
「笑い事じゃありませんよ」
俺はため息混じりに言った。
「悪い悪い、…で、結局は行かないのか?
せっかく受かったのに」
「試験参加が認められただけです。それにどうせ受からないですよ」
「なぜそう思う?」
要さんの目は真面目になっていた。
「俺の成績、悪いなんてレベルじゃないんです。
それに、俺自体行きたいとは思いません。魔法に関わったこともないし、興味ありませんから」
「そうかい」
要はくわえたばこをくわえ、火をつけた。
タバコを吸う要と夜の闇が見事にマッチしていて、男の俺から見てもかっこいい。
俺は要が使った魔法にも興味がわいてきた。
単純なことに、魔法っていいかも。とか思い始めている。
「まぁ、お前が受けるんなら、少し贔屓してやるよ。いけないことだがな」
そう言って笑い、たばこを指で挟んで電柱に縛り付けている通り魔の額で揉み消した。
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