プロローグ

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「それはまずいんじゃ……」 とりあえず、俺が思ったことを言ってみる。 ちなみに通り魔は気絶しているようだ。 「いいんだよ。」 と、笑いながら言い放った。 この人、ドSか? 通り魔とは言え、普通人にヤキ入れるなんて教師のする事じゃない。 「そう難しい顔するな! お前……名前なんだっけ?」 今気がついた。俺は要さんに名乗っていない。 「すいません。オレは川添拓海です」 「そうか。で、川添、刺されたんだから好きなだけ殴ってもいいぞ」 あんた本当に教師か!? まぁ、確かにムカつくし、殴ってやりたい気もするけど…… 「遠慮するな! どうせ気絶してっからバレねぇよ!」 それじゃあお言葉に甘えて…。 ドゴッ! 腹を全力で殴り、とられた財布を取り返した。 「いいパンチだな」 要さんは笑いながら見ていた。 本当に言動が教師ではない。ただのヤンキーだ。 「じゃ、俺は帰る。 またどこかで会おうぜ」 俺は今、この瞬間にある決意をした。 「要さん!」 「ん?」 要さんはゆっくりと振り返った。 「俺、受けます!」 言葉をだいぶ端折ったがその言葉の意味は、伝わっただろう。 「そうか」 ニカッと笑い、去っていった。
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