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「子供の頃の信久もね、このひまわり畑が好きだったんだ。今のお前みたいに駆け回って遊んでいたんだよ」 お爺さんがそう言うと、シロは遊び疲れたのか、お爺さんに寄り添ってきた。 「信久も遊び疲れては、お爺ちゃん、抱っこしてって、言ってきたんだよ。…今のお前みたいにね。なんだか、お前がもう一人の孫のように思えるよ」 お爺さんはそう言いながら、優しくシロを抱き上げた。 シロは嬉しそうに、尻尾を振っている。 シロはお爺さんが悲しい表情をしている事を、心配するかのように、お爺さんを見つめていた。 その時、風が吹いた。 元気のないお爺さんを、励ますかのような、少し暑く、少し強い風が。 「さぁ、そろそろ帰ろうか」 お爺さんはそう言って帰り始めた。
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