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季節は秋。 夜には、空に満天の星空と、ひときわ輝く満月があたりを照らす。 「父さん!また、餌あげてるんですか、いいかげんにしてください!」 落ち葉を掃きながら、お母さんは、お爺さんに向かって言った。 「お腹を空かせているんじゃよ、可哀想じゃないか?」 お爺さんが言い返すと、二階から信久が降りてきて、壁に背をつけながら言った。 「もう、長くねぇんだから、犬の世話より、テメーの心配してろよな」 「信久ッ!!お前ったらッ!」 お母さんが信久を怒ろうとするのを止めるように、お爺さんは言った。 「信久の言うとおりじゃよ。逝く時は心配事を残して行きたくはないからの、シロが自分で生きていけるようになるまでは、世話をさせておくれ」
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