3人が本棚に入れています
本棚に追加
「あぁ、そうそう!父さん、逝く時といえば遺産の件!」
お母さんは思い出したようにお爺さんに言った。
「弁護士さんの所に行ってきましたよ。それでね、分配の比率なんだけど…」
その瞬間、信久はすこし怒ったような顔をして
「今日、メシいらねーからッ!!」
そう言って、二階の自分の部屋へ駆け上がっていった。
「反抗期か何だか知らないけど、まったく、あの子ったら」
お母さんが、呆れたように言うと、居間からお父さんの声がした。
「おい、お前。なにも、お義父さんにそんな話を……」
お父さんが、新聞を片手に焦りながら言った。
「あなた…。父さんにしなきゃ誰にするのよ。今はまだ父さんのものなのよ!?」
「おいっ!お前…ッ」
お父さんが声を荒げた瞬間
「そうじゃよ。ワシの事なんだから、ワシが聞かんでどうする」
お爺さんは二人を止めるように言った。
最初のコメントを投稿しよう!