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「これは、いずれ必ずやらなきゃならない事なの!!父さんが、参加できる内に解決しておくべき事なのよ!!」
お母さんは口調を強くして言った。
お父さんはそれ以上、なにも言えなかった。
「それでね、お母さんの形見の指輪の件なんだけど……」
それから、しばらく遺産の話は続いた。
時間は過ぎ、日は沈み空に大きな満月が輝く頃。
家の縁側で、お爺さんは膝の上にシロをのせて、お茶を飲みながら休んでいた。
「ふぅ、疲れた……でも、なんとかうまく遺産分けができそうだよ…」
シロはお爺さんを見つめている。
「さびしい話題だけれど…いつお迎えがきても、大丈夫なようにしとかんとな…心配事を残さんように…」
その時、階段の方から、カタッという音が聞こえた。
二階から信久が降りてきた。
信久はゆっくりと、お爺さんの方に向かって歩いてくる。
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