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「おや信久、ご飯は食べたのか?」 信久はお爺さんを軽く睨みつけて、何も喋らずに通り過ぎていった。 「どうしてか知らんが、ワシは本当に信久に、嫌われてしまったようだな」 お爺さんは俯いて悲しそうな表情をしていた。 「その方が、ワシに何かあった時に悲しい思いをさせずに済む」 お爺さんはシロをなでながら、言った。 そして、シロを抱き上げ目を見つめた。 「その時はお前も、ワシの事なんて忘れて、新しい生活に移り、頑張ってゆくのじゃぞ」 お爺さんはゆっくりと、今までの事を思い出しながら、続けた。 「その時になれば、ワシはもうご飯をあげる事はできないんのだからな…」 お爺さんは言い終わると、目を閉じて、愛おしそうにシロをなで続けた。
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