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季節は冬。 雪が降り続け、辺りは純白に包まれ、吐く息は白く染まる。 あの丘から見える場所で、お爺さんの葬儀が行われている。 その中から、近所の人達のひそひそ声が聞こえてくる。 「心不全ですって?」 「いきなりだったわね…」 「…でもないらしいわよ。なんか、遺産とかの問題は、全て解決してからの事だったみたいで…」 「どうも亡くなる前に、自分から娘さんに頼んでいたそうよ……」 「なんとなく、悟っていたのかしらねぇ……」 「そう言えば、結構遺産の額、すごいって話らしいわよ…」 「ちゃんと話し合って決めておかなかったら、壮絶なイザコザになってたかもしれないわねぇ…」 「生前に決めておいて、正解だったって訳ね」 「娘さん、…ずいぶん頑張ったみたいよ」
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