3人が本棚に入れています
本棚に追加
お爺さんの、遺影は笑っていた。
弔問客が御焼香をあげ続けている中、お母さんは俯きながら、言った。
「間に合って…良かったって…言うべきなのかな……」
お母さんは、だんだんと顔をあげながら続けた。
「でも父さん、何もそんなに急いで逝かなくてもよかったのに……」
お母さんは、まるでお爺さんに話しかけるように続けた。
「もう父さんが、心配していたような事は起きないわよ。…父さんの、遺したもので、父さんの悲しむような事には、ならない……」
顔をあげきったお母さんは、笑顔だった。
「だからもう、ゆっくり休んじゃいなさいな…父さんったら、始終何かしら心配してたんだから…」
お母さんは、お爺さんと、お別れをした。
最初のコメントを投稿しよう!