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お爺さんの、遺影は笑っていた。 弔問客が御焼香をあげ続けている中、お母さんは俯きながら、言った。 「間に合って…良かったって…言うべきなのかな……」 お母さんは、だんだんと顔をあげながら続けた。 「でも父さん、何もそんなに急いで逝かなくてもよかったのに……」 お母さんは、まるでお爺さんに話しかけるように続けた。 「もう父さんが、心配していたような事は起きないわよ。…父さんの、遺したもので、父さんの悲しむような事には、ならない……」 顔をあげきったお母さんは、笑顔だった。 「だからもう、ゆっくり休んじゃいなさいな…父さんったら、始終何かしら心配してたんだから…」 お母さんは、お爺さんと、お別れをした。
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