2人が本棚に入れています
本棚に追加
※注意※【珍しく長いです】
もう最期だね…
地面に広がる
自分を見つめ
━━━……・・・
流れた歌に耳を傾ける少女。
日本から持ってきた、数少ない自分の物から、それは零れるようにして、流れていく。
そんな中、四角い窓から地上を見下ろす、一人の女。
『ココカラ、飛ビ降リタラ…』
心の中で、谺した言葉。
彼は彼女の知らない場所へ…。
見上げた空は青い。
10年前、彼が持っていたリングにあった石と同じ色…。
━━━歌は耳を犯す…。
そう、言ったのは…彼女を最初に抱いた男…。
彼ではない…。
彼は触れる事もなく、彼女をその男に『オレの代わりに…彼女を護ってください』と伝えた。
自分の身を按じた彼のしたたかさだったのか…。
それとも、護りきれないと…馬鹿に諦めがついてしまったのか…。
『……弄ばれた…躯の…傷…』
小さな声で、あの男が嫌う歌を歌った。
彼女には彼と歌が全てだった。
彼の温もりだと思えば、あの男に抱かれる事も…。
彼の声だと思えば、あの男に名前を呼ばれる事も…。
彼が嫌だと言ったと思えば、唄う事も…。
彼女は全てを捨てられた。
━━━棄てるのに馴れ過ぎてきた…。
『オィ、カス女』
『なぁに?ボス』
→
最初のコメントを投稿しよう!