企業舎弟

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その雰囲気に押されたのか 男はとっさにそう聞いたのだろう。   「2000円。安いやろ?」   すぐにユウタが答えた。   するとさっき喋った方とは別の男が言った。   「今お金ないんで…」   「いくら持っちょん?」   ユウタが間伐入れずに聞いた。   「1000円しかないです。」  先の男が申し訳なさそうに答えた。   ユウタは答えた方と別の男に目線をやり   「兄ちゃんはいくら持っとん?」   と、質問した。   「俺も1000円しかないです」   男はツレの方を少し見ながらそう答えた。   一瞬沈黙が流れ、ユウタが続けた。   「合わせたらちょうど2000円やき、兄ちゃんら二人で買ってや」   二人はどうしようといった表情で顔を見合わせたが、一人が口を開いた。   「わかりました。 それでお願いします」   ツレの方は少し戸惑った感じだったが、結局財布からお金を出し 二人でCDを買った。   ユウタはお金を受け取り、CDを渡して   「ありがと兄ちゃん、いい買い物したやん。 今人気の○○(流行りのバンド名)のCDばいっ」   と機嫌よさそうに言った。 
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