始まり

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「おぅ、兄ちゃん!!」   突然、上下紫のスーツに蛇皮のカバンを持った、チンピラっぽい格好の男に声をかけられた。   「…なんすか?」   俺は気だるそうに答えた。   「兄ちゃん、俺はA会っちゅうとこのもんなんやけどどうや?A会入らん?」   男がニヤニヤしながら言った。   A会っつったら俺でも知ってる ここいらじゃ有名なヤクザだ。 しかしヤクザがこんな簡単に勧誘なんてするのか? 名前を語っているだけという可能性もあるし、第一ヤクザなんか入る気はさらさらなかったので   「ぁー…俺、族とかチームとか 好きじゃないんすよ」   俺はさっきよりもっと気だるそうに答えた。   男の顔がパッと変わった。かなり怒った様子で俺に顔を近づけ、こう怒鳴った。   「ぁあ!?お前舐めとうとや!!?A会をそこらへんのチームと一緒にすんなや!!!」   その瞬間、男は自分のバックから刃物を取り出し 俺の首につきつけた。   「あんま舐めとると、刺し殺すぞ貴様!!」   男は息を荒らげて興奮している。   俺は男の目を見た。 その目は焦点が合ってなく、なんというか危険な目をしていた。   (やばい…。)  
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