始まり

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ツーッ…   刃物をつきつけられた首から 血が垂れてきた。   マジかよ…! こんなまっ昼間の公園で人を刺せるわけない。 そう思って安心していた俺は一気に焦り始めた。   男は相変わらず興奮した様子で、しかも狂ったような まるで薬でもやっているような目で俺を凝視している。   「バカにしたわけやないんです。すんません」   危険を察知した俺はとっさに謝っていた。   「ぁ? そこらへんのチームとかと一緒にしてバカにしたやろうが!! お前A会に入るかここで刺されるか どっちがいいとや!? 選べ!」   キレ気味に男が言った。   なぜこの2択なのか と一瞬戸惑ったが、今は入ると言わないと仕方ない状況だと思った俺は   「わかりました…」   と言いかけた。   その時遠くから声がした。   「おい ジュン!! 何しよるとや!!」   どうやら男の知り合いらしき人が この状況に気付き こっちに向かって走ってきた。   近くに来て一目でわかった。 こいつもA会だ。   全身ダボついたスーツで、セカンドバックを持っている。 しかも角刈り。 俺はヤクザだ と言っているような格好だ。
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