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さっき質問した男が口を開いた。
その男は一見ヤクザには見えなかった。 大柄で スーツにバッシュ、スポーツ用のグラサンをしていた。
「兄ちゃん、どうするん? ジュンにこのままどっかで殺されてもいいけど 兄ちゃん嫌やろ? 手伝いは兄ちゃんの他にも普通の若い奴らもやりよるけぇ、ちょっとだけ手伝ったれやぁ」
少し脅しがかった言い方だった。
俺はもうどう答えるしかないかわかっていた。
「わかりました。手伝います」
「よっしゃ決まりや!! ジュン、兄ちゃんも手伝うって言いようけん、お前も許してやれ いいや?」
角刈りの男がジュンに向かって言った。
ジュンは少し不満そうに俺を睨み、そして角刈りの男の方を向いて
「わかった。 今日はとりあえず許しちゃあ。 でも舐めたことは忘れんけんな」
そう俺に言い残し、ジュンはこの場を離れて行った。
こうして俺はこの日から ヤクザの手伝いをすることになった。
まだA会が、ヤクザがどういうやり方をするのかわからない俺には 断ることはできなかった。
あの時 公園に行かなければ。 変なことを言わなければ。
この日ほど後悔という意味を思い知ったことはない。
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