手錠と足枷

3/4
7077人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
足枷から伸びている鎖は長くて、その先端が金具でベッドの足に繋がれている。 「もー! 何なのこれ?」 取り敢えず力いっぱい引っ張らみたけど、頑丈なそれはびくともしない。 「嘘……」 心臓がドクドクと脈打つのを感じる。 なんで。なんで? これは何? どうして私にこんなものが? 息を吸い込んで、無理矢理気持ちを落ち着かせる。 焦っちゃ駄目だ。 冷静に考えなくちゃ。 ……あ、もしかして! 目が覚めたつもりでいたけど、まだ私は寝ていて夢でも見てるのかも。 だって現実に、こんな意味の分からない事が起きるはず無いじゃない。 知らない間に拘束されるなんて、普段の生活では有り得ない。 そんな期待を込めて頬を引っ張ってみたけれど、確かな痛みが残っただけだった。 ……夢じゃないんだ……。 私は溜め息を吐いて、部屋を見回す。 そして、ある事に気付いた。 「ここ、どこ……!?」
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!