手錠と足枷

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私がいる部屋は、全く見覚えのない所だった。 結構広いけど家具が異常に少ない。 私がさっきまで寝ていたベッドと、小さな照明器具があるだけ。 生活感の欠片も無い部屋だ。 「何で私……こんな所に……?」 手には手錠が掛けられて、足には足枷。 そして見覚えの無い部屋に閉じ込められた。 「……えっと、どうしてこんな事になったんだっけ?」 必死に記憶を手繰り寄せる。 私は、普通の高校生で……昨日はいつもと同じように学校に行った。 そこで授業を受けて、部活には入ってないから家に帰ろうとして。 ……それからは? あれ、思い出せない。 うーんと唸っていると不意にガチャリとノブが回る音が聞こえた。 「っ!?」 がばっと顔を上げて音がした方向を見る。 そこには……。 「あ、おはよう! 起きたんだね!」 ……無邪気に笑う、見知らぬ小学生が立っていた。
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