315人が本棚に入れています
本棚に追加
/214ページ
目の前に置いてあるカシスウーロン。
赤がきれいで、あたしは思わずグラスに見とれてしまった。
「飲まないの?」
隣に座る男の子があたしの顔を覗き込んだ。
「飲む飲む!」
あたしはハッとして、慌ててグラスを手に取った。
「ヒカリちゃんは彼氏とか居ないの?」
彼はにこにこしながら話し掛けてくる。
明るすぎない髪の色、飾りすぎてないアクセサリー。
至ってカジュアル。
他の男の子より真面目そう。
「ん?彼氏?
彼氏は…居ないよ」
あたしのしどろもどろな返事に彼は口元を少し緩めた。
「居ないよ。
ほんとに。」
あたし、なに必死になってんだ。
最初のコメントを投稿しよう!