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目の前に置いてあるカシスウーロン。 赤がきれいで、あたしは思わずグラスに見とれてしまった。 「飲まないの?」 隣に座る男の子があたしの顔を覗き込んだ。 「飲む飲む!」 あたしはハッとして、慌ててグラスを手に取った。 「ヒカリちゃんは彼氏とか居ないの?」 彼はにこにこしながら話し掛けてくる。 明るすぎない髪の色、飾りすぎてないアクセサリー。 至ってカジュアル。 他の男の子より真面目そう。 「ん?彼氏? 彼氏は…居ないよ」 あたしのしどろもどろな返事に彼は口元を少し緩めた。 「居ないよ。 ほんとに。」 あたし、なに必死になってんだ。
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