61人が本棚に入れています
本棚に追加
定時着、定時発の各駅停車。
混みあった車内から吐き出されるように電車を降りた僕は、
ホームのベンチに腰を下ろす。
目の前を足早に通り過ぎて、階段を下りていく乗客たち。
その流動が排水溝に吸い込まれる水のように見えて、
とても気味が悪かった。
雑踏き飲まれてしまえば、僕もあの一部・・・
そんな嫌悪感が胸に渦巻く。
・・・今朝も気分は最悪だ・・・
吐き出してしまいたい。
いつも感じている吐き気。
朝食をとって来なかったから、胃の中には何も入っていない。
しかし、それでめ吐き気はそこに・・・
胃に、喉にまとわり付いている。
いつでも・・・いつまでも・・・まとわり付いて離れない。
腹部がジンジン痛み、嫌な汗が額に浮かんだ。
無意識に歯を噛み締めて、目を閉じる。
痛む所を手で押さえながら、
僕はただじっと耐えているしかなかった。
到着した電車からは、ぞろぞろと人が降りてくる。
流動。また排水溝に吸い込まれていく。
ベンチに座って腹を押さえている中学生には、
誰も見向きもしない。
最初のコメントを投稿しよう!