第1講 吐き気

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定時着、定時発の各駅停車。 混みあった車内から吐き出されるように電車を降りた僕は、 ホームのベンチに腰を下ろす。 目の前を足早に通り過ぎて、階段を下りていく乗客たち。 その流動が排水溝に吸い込まれる水のように見えて、 とても気味が悪かった。 雑踏き飲まれてしまえば、僕もあの一部・・・ そんな嫌悪感が胸に渦巻く。 ・・・今朝も気分は最悪だ・・・ 吐き出してしまいたい。 いつも感じている吐き気。 朝食をとって来なかったから、胃の中には何も入っていない。 しかし、それでめ吐き気はそこに・・・ 胃に、喉にまとわり付いている。 いつでも・・・いつまでも・・・まとわり付いて離れない。 腹部がジンジン痛み、嫌な汗が額に浮かんだ。 無意識に歯を噛み締めて、目を閉じる。 痛む所を手で押さえながら、 僕はただじっと耐えているしかなかった。 到着した電車からは、ぞろぞろと人が降りてくる。 流動。また排水溝に吸い込まれていく。 ベンチに座って腹を押さえている中学生には、 誰も見向きもしない。
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