第1講 吐き気

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「まもなく、8番線にT線折り返し、 8時23分発、大曲行きが参ります。 白線の内側まで下がって─── けたたましい構内アナウンスが、僕の意識に割り込んできた。 ホームに設置された時計を見上げると、まもなく8時15分。 授業開始は8時30分。 そろそろ学校に行かなければならない・・・ ベンチの感触を名残惜しみながら、僕は立ち上がった。 このまま動かなければ、折り返しの電車がやってくる。 それに乗って家に帰ることが許されるならば・・・ どんなに気が楽だろう。 今すぐ帰って母さんに「学校なんて行きたくない」、 そう言うことができたら・・・
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