779人が本棚に入れています
本棚に追加
「ざけんなっ!助けたいに決ってる!お前だけじゃない皆思ってる!でも今の状況じゃなにも変わらない!自分から死に行くもんだ!頭を冷やせ!怠!」
竜は怠の胸倉を掴み小さくそう怒鳴りつけた。すると、怠は黙りこんでしまっていた。
「ウワァァァァァァァ!」
「!?」
向かいから更に狂乱になった中橋の声が聞こえてくる
怠はただ目を強く瞑って耳をふさいでいた。
そして、吸血鬼は首筋を噛み
さっきまでの暴れた声がやみ中橋は失神して吸血鬼に研究所へと運びこまれた。
竜はその光景を最後まで見届け最後に
「ごめんな」
と呟いた。
「はぁ…はぁ…」
怠はまだ耳を塞ぎ目を強く瞑ったままだった。
「怠…もう大丈夫だ」
竜がそう優しく手を怠の肩にのせそう言うと
ゆっくりと怠は目をあけたのだった。
「…糞…」
怠はそう一言呟いただけであった。
自分の無能さ非力さに腹が立ったのだ。友の為になんの役に立てなかった自分に
そして、こんな事をし始めた現況
サングラスの男に怒りが溢れだしてくる
「絶対…ただじゃおかねぇ…」
怠は今までこの4人に見せた事のない憤怒の表情であった。
「お…おにい…ちゃん…?」
由希が声をかけずらいほどであった
それは拓也達もだった。あの温厚な怠が憤怒の形相になっているのだから
がしかし 中には別に驚いた表情を一つもしない奴がいた
竜だった。
竜は
「落ち着け怠…お前さ怒ると見境がなくなるだろ?今は押さえろ」
竜はそうなだめに入ったのだった。まるで怠の怒った時の対処法を知っているかのようだった。
しかし、竜は中学の付き合いなので
怠がキレると自分より強い男だと竜はそれぐらいは分かっていた
「ああ…」
竜の言うとおりだった
今更怒ってもしょうがない
怠は気をまたしっかり持ち直し自分に気合いを入れる様に手のひらで自分の頬をバシバシと叩いた。
「いくか」
そう怠が呟くと
6人はまたサイレン…を止めに森の中へと歩いていった。
しかし…この先
残酷な運命が待ち構えていようとは知る由もなかった。
最初のコメントを投稿しよう!