アリガトハンター

もう見たくない雫

日本という島国の片隅に位置する猪鹿町(いのしかちょう)。

とある政令指令都市より少し外れた場所にあるその町は、繁華街や住宅街、公共施設などのバランスが非常に取れている。

ただ『いいノリ しっかり 猪鹿町』というスローガンとは裏腹に、悪ノリが過ぎる連中が多い地域でもあった。

そして剛は死神に言われた通り、町にお別れを言うように徘徊している。

　……しなきゃよかった

歩き始めてすぐの頃から、剛の頭にはこの言葉が巡っているのだった。